中村正和(編集委員)
地域医療振興協会へき地医療研究センター アドバイザー

 本号には,地域医療の未来を考える上で示唆に富む3編が掲載されている.

 地域診療所における大腸内視鏡水浸法の導入報告は,限られた人的・設備的資源の中でも,安全性や受容性を高めながら,患者負担が少なく質の高い検査を実現できることを示している1)

 一方,自治医科大学東京都卒業医による離島診療の総説は,外海離島という厳しい環境での実践が,総合的な診療能力や自律性を培い,地域医療人材の成長に大きく寄与してきたことを論じている2)

 さらに,第42回九州地域医学研究会の報告では,専門医取得,キャリア形成,ライフイベントへの対応など,地域医療を支える人材育成の課題と各県の工夫が共有された3)

 これら3編に共通するのは,地域医療の持続可能性が「技術」「人材」「仕組み」の三者によって支えられているという点である.新たな診療技術の導入も,離島での挑戦的な実践も,若手医師の育成支援も,すべては地域住民に必要な医療を届け続けるための取り組みにほかならない.人口減少や医師偏在が進む中だからこそ,現場から生まれる創意工夫や経験の共有は一層重要になる.本号が,地域医療の価値と可能性について改めて考える機会となることを期待したい.

Reference

  1. 1) 笹井平,他:高齢者にやさしい大腸内視鏡挿入法の工夫:水浸法の地域医療現場での応用.月刊地域医学 2026;40(9):e26_010.
  2. 2) 箕輪良行:外海離島診療所勤務は自治医科大学東京都卒業医を最強ブランドにする.月刊地域医学 2026;40(9):e26_011.
  3. 3) 佐藤新平,他:第42回 九州地域医学研究会の開催報告.月刊地域医学 2026;40(9):e26_012.